トランプ政権、AI規制を連邦一元化へ——州の規制権限を大幅制限
トランプ政権は2026年3月、米国のAI政策を統一する立法フレームワークを公表した。最大の特徴は、各州が独自に制定してきたAI規制法を連邦法で「プリエンプション(優先適用)」し、事実上無効化する点だ。
ホワイトハウスの声明は「このフレームワークが機能するには、全米で統一的に適用される必要がある。州法がバラバラに乱立すれば、米国のイノベーションとグローバルなAI競争における主導権が損なわれる」と主張している。
イノベーション優先、規制は最小限に
フレームワークは7つの主要目標を掲げており、いずれもAIの革新と普及拡大を前面に押し出している。「最小限の負担で国家標準を設ける」という考え方は、ホワイトハウスAI担当のデービッド・サックス氏(ベンチャーキャピタリスト)が推進する「アクセラレーショニスト」的思想と一致する。
規制の根拠となる独立した監督機関や、AIが引き起こす新たな被害への法的責任フレームワークは今回の方針には含まれておらず、批判的な声も上がっている。
未成年者保護は「親の責任」
注目すべき点として、未成年者の安全に関してフレームワークは「AI企業は性的搾取や未成年者への被害リスクを低減する機能を実装すべき」と述べるにとどまり、具体的な法的義務や罰則は設けていない。実質的な安全確保の責任は保護者に委ねられる形となっている。
州の権限はどこまで残るか
州が引き続き行使できる権限は、詐欺防止・子ども保護に関する一般法、ゾーニング規制、州自身によるAI利用に限定される。AI開発そのものの規制は「本質的に州際問題であり、国家安全保障・外交政策と紐付いている」として、州の管轄から外される。
また、「AIモデルを悪用した第三者の違法行為についてAI開発者を罰してはならない」という免責規定も盛り込まれており、プラットフォーム企業にとっては事業リスクの大幅な低減につながる。
米国の動向が日本にも影響
米国はAI規制の国際的な基準形成においても大きな影響力を持つ。欧州のEU AI Actが義務と罰則を重視する規制アプローチを採る中、米国が「イノベーション優先・軽規制」路線を明確にしたことで、国際的なAIガバナンスの方向性に関する議論が一層複雑化する可能性がある。日本も独自のAI戦略を策定する上で、この動向を注視する必要があるだろう。
なお、ニューヨーク州の「RAISE Act」やカリフォルニア州の「SB-53」など、大規模AIモデルの安全プロトコル公開を求める先進的な州法との衝突も今後の焦点となる。
※出典: Trump's AI framework targets state laws, shifts child safety burden to parents — TechCrunch AI