Adobe Firefly、自前の作品でAIをトレーニングできる「カスタムモデル」を公開ベータ提供開始

Adobeは2026年3月19日、AI画像生成サービス「Adobe Firefly」において、ユーザー自身のアセットでモデルをトレーニングできる「Firefly カスタムモデル(Firefly Custom Models)」の公開ベータを開始した。

カスタムモデルとは

Firefly カスタムモデルは、クリエイターやブランドが保有する既存の画像群をもとにAIをトレーニングし、特定の画風やキャラクターデザインを学習させる機能だ。一度トレーニングすると、そのモデルを繰り返し利用して新たなコンテンツを生成できるため、「毎回ゼロから作り直す」必要がなくなる。

Adobeによると、このカスタムモデルは以下のような視覚的要素を保持した画像生成が可能だという。

  • 線の太さ(ストロークウェイト)
  • カラーパレット
  • 照明スタイル
  • キャラクターの特徴

イラスト・写真・キャラクターデザインなど幅広いジャンルに対応しており、複数のプロジェクトやキャンペーンにわたって一貫したビジュアルアイデンティティを維持したい企業やクリエイターに特に有用だ。

プライバシーと著作権への配慮

カスタムモデルはデフォルトで非公開(プライベート)となっており、トレーニングに使用した画像がAdobeの汎用Fireflyモデルの学習データとして使われることはない。これはブランド資産や未公開作品を学習に使う際の大きな安心材料となる。

また、著作権保護の観点から、トレーニング前にユーザーは「必要な権利と許諾を有していること」を確認する同意モーダルへの承認が必須となっている。さらにFireflyは、アップロードされた画像に対してコンテンツ真正性イニシアティブ(CAI: Content Authenticity Initiative)の認証情報を自動チェックする。CAIを通じてAI学習へのオプトアウトを設定したクリエイターの作品は、Fireflyが自動検出して学習対象から除外される仕組みだ。

背景:Adobeの「倫理的AI」戦略

AdobeはFireflyのモデルを、ライセンス取得済みコンテンツとパブリックドメイン素材のみで学習させていることを強調しており、著作権侵害のリスクが指摘される競合サービスとの差別化を図ってきた。今回のカスタムモデル機能もその戦略の延長線上にある。

本機能は昨年のAdobe Max(2025年)でプライベートベータとして発表されていたが、今回の公開ベータ開始により誰でも試せるようになった。大量のビジュアルコンテンツを継続的に制作する必要があるメディア企業・ゲーム会社・EC事業者などにとって、実用的なワークフロー改善ツールとなる可能性がある。

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