トランプ政権がAI規制の立法指針を発表、州規制を封じ込め
トランプ政権は2026年3月20日(米国時間)、AIに関する新たな立法指針を議会に向けて公表した。7つの項目からなるこの青写真は、連邦政府によるAI規制を最小限に抑え、各州が独自にAI関連法を制定することを禁止するよう求める内容だ。
「AI覇権」を妨げる規制は不要との立場
最大の焦点は、州単位でのAI規制の封じ込めだ。指針では、各州の法律がアメリカの「AI覇権(global AI dominance)戦略」を阻害するものであれば、連邦法で規制できるよう議会に求めている。これは、これまでカリフォルニア州など複数の州が独自に推進してきたAI規制の動きに正面から対立するものだ。
ただし、この指針はあくまで議会への提言にとどまり、実際に法律として効力を持つには議会での立法化が必要となる。
未成年者保護には超党派的な配慮
一方で、未成年者の保護については共和・民主両党から支持を得やすい内容が盛り込まれた。2025年5月に成立した「Take It Down Act」(AIによる非合意の性的画像の拡散を禁止する法律)に続き、AI プラットフォームへのアクセスにおける年齢確認の義務化を提案。未成年者のデータを使ったAIモデルの学習制限や、ターゲット広告への制約なども含まれている。
ディープフェイク(Deepfake)対策としては、本人の許可なくAI生成した音声・容姿・識別可能な特徴を商業利用や無断配布することを規制する「連邦肖像権法」の創設を検討するよう求める条項も含まれた。ただし、パロディ・報道・風刺などの表現の自由に該当するケースについては「明確な例外規定を設けるべき」としている。
著作権問題は司法に委ねる方針
生成AI開発において国際的に議論が続く「著作物を使ったAI学習の適法性」については、「フェアユース(fair use)に該当するかどうかは裁判所が判断すべき問題」として、議会は関与しないよう求めた。政権自体はフェアユースに該当するとの立場を示しつつも、「反対意見も存在する」と認めた上で司法への一任を選択した形だ。
また、AI を悪用した詐欺やなりすまし被害の増加に対応するため、既存の法執行手段の強化も提言。AI インフラによる電力需要の急増抑制や、若年層向けのAIスキル教育の推進についても言及している。
日本への示唆
EUが包括的なAI規制法(AI Act)を施行する中、アメリカが「規制より競争」を鮮明にした今回の指針は、国際的なAIガバナンスの議論に大きな影響を与えそうだ。日本もAI規制の方向性を模索している段階であり、主要国の動向として注視が必要だ。