Microsoft 365 Backup にファイルレベル復元機能が登場

Microsoftは、「Microsoft 365 Backup」にファイル・フォルダ単位での復元機能を追加すると発表した。メッセージセンター通知(MC1245216)によると、現在パブリックプレビュー中で、2026年4月末に一般提供(GA)開始、5月初旬に全世界展開完了の見込みだ。

サイト全体の復元が不要に

これまでMicrosoft 365 Backupでは、データを復元する際にサイト全体を特定の時点に巻き戻す必要があった。マルウェア攻撃などの大規模な障害対応には有効だが、「うっかりファイルを削除してしまった」という日常的なシナリオには過剰な手段だった。

新機能により、テナント管理者は復元ポイントから特定のファイルやフォルダだけを選択して復元できるようになる。特に、サイトにアイテム保持ポリシーが設定されておらず、SharePointのごみ箱からも削除されてしまったファイルの救出に威力を発揮する。復元可能な期間は最大1年間と長く、過去の任意のバックアップポイントまでさかのぼれる。

バージョン履歴との関係

ファイルレベル復元の内部実装についてMicrosoftは詳細を公開していないが、SharePoint OnlineおよびOneDrive for Businessのファイルバージョン管理機能をベースにしていると考えられる。SharePointは「インテリジェントバージョン管理」を採用しており、保持が必要と判断したバージョンのみを保存する仕組みだ。ユーザーが手動で過去バージョンを復元する操作と、概念的には同様の処理が行われていると見られる。

PowerShellとGraph APIの制約に注意

Microsoft 365 BackupはPowerShell(Microsoft.Graph.BackupRestoreモジュール)でも管理可能とされているが、重要な制約がある。多くのコマンドレットは「バックアップコントローラーアプリケーション」として登録された専用アプリからのみ実行可能で、管理者が対話型セッションで実行しようとすると403 Forbiddenエラーが返される。

コントローラーアプリはテナントに1つしか登録できず、通常はAvePoint・Veeam・Veritas等のサードパーティ製バックアップ製品がこの役割を担う。Microsoft Graph PowerShell SDKはコントローラーアプリではないため、対話的な実行には制限がある点を運用前に把握しておきたい。

日本の管理者へのポイント

Microsoft 365を業務利用している国内企業にとって、ファイル誤削除は頻繁に発生するインシデントの一つだ。今回の機能追加により、ヘルプデスクや情報システム部門の復旧対応コストの削減が期待できる。なお、Microsoft 365 Backupの利用には別途ライセンス費用が発生するため、コストとのバランスを考慮した上での導入検討を推奨する。


※出典: Microsoft 365 Backup Launches File-Level Restore