Microsoft、大量メール送信「HVE」が正式リリース——5月まで無料トライアル期間

Microsoftは2026年3月、Exchange Online向けの大量メール送信ソリューション「High-Volume Email(HVE)」を一般提供(GA)開始した。メッセージセンター通知MC1243552およびMicrosoft 365ロードマップ #382633で正式発表されており、約2年に及んだプレビュー期間がついに終了した形だ。

HVEとは何か——なぜ必要なのか

Exchange Onlineは本来、個人・共有メールボックスを対象としたサービスであり、1日に数万〜数十万通規模のメールを送信するユースケースには向いていない。Microsoftは「テナント外部レート制限」のような送信制限を設けており、大量送信が必要な場合に既存の仕組みでは対応できないケースがあった。

HVEはこの課題を解決するために設計された専用の有料サービスで、Exchange Online上に別レイヤーとして構築されている。社内向けの一斉通知や業務アプリケーション(LOBアプリ)からのステータス通知など、日常的に大量メールが発生するシナリオでの活用が想定されている。

外部送信はNG——社内メール専用に変更済み

注意すべきは、HVEは社内宛て(内部受信者)のみに対応している点だ。プレビュー当初は外部送信機能も備えていたが、Microsoftは2025年にこれを廃止した。外部向け大量メール送信には、別サービスであるAzure Email Communication Services(ECS)の利用が必要となる。ECSも Exchange Online 上に構築されているが、独立したインスタンスで動作する。

LOBアプリとの連携——SMTP基本認証はまだ使える

業務システムからの利用を想定し、HVEはSMTP送信において現在も基本認証(Basic Authentication)をサポートしている。コード変更を最小限に抑えたいレガシーシステムや、OAuthに未対応のプリンター・スキャナー等のデバイスを利用している組織にとっては重要なポイントだ。

ただし、この基本認証サポートは2028年9月に廃止予定。HVE外のSMTP AUTH(認証済みSMTP)では2027年後半に廃止日が発表される見込みで、最終的にはすべてのExchange Onlineへのクライアント送信がOAuth必須となる。プリンター・スキャナーメーカー各社のOAuth対応の遅れが、廃止スケジュールに影響する可能性もある。

料金は未発表——ECSを参考にすると…

気になる料金は現時点では未発表。ただし類似サービスであるECSでは、平均0.2MBのメール100万通あたり約274ドルの費用がかかる。HVEも同水準の価格設定になると予想されており、課金開始前の2026年5月までに詳細が公表される見込みだ。

日本企業への影響

グループウェアとしてMicrosoft 365を活用する日本企業にとっても、HVEは注目のアップデートだ。全社一斉通知、ERPやCRMなど基幹システムからのメール送信、定期レポートの自動配信といったシナリオでの活用が考えられる。5月の課金開始前に検証を進めておくことを推奨する。


※出典: Microsoft Rushes High-Volume Email to General Availability